カトリックさいたま教区/CATHOLIC SAITAMA DIOCESE

司教メッセージMESSAGES

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受難の主日(枝の主日) マルコ 15・1-39

2021.12.28 (日)
兄弟姉妹の皆さん
 枝の主日は私たちを聖週間へと導いてくれる大きな門です。主イエスが、地上の生活を締め括る一週間です。
 イエスは主の約束を実現させるため、十字架にかけられるためにエルサレムに向かい、その十字架の元にすべての時代の人類を引き寄せ、そして贖いの恵みを差し出されるのです。

 イエスはヘリコからエルサレムに向かう途中、盲目のバルティマイをいやされました
 マルコ福音書によりますと、イエスが使徒と共にエルサレムに向かってエリコを出られた時、すでに大勢の人がそれに従っていたとあります(マルコ10・46)。
その道すがら、起こった特別な出来事が語られます。一人の目が見えない人、バルティマイが道端に座っていました。彼はナザレのイエスが来ていると聞くと、「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください」と叫び始めました。(マルコ10・47)。弟子たちは彼を黙らせようとします。しかし、イエスは彼を連れて来させ、ご自分に近寄るよう招きました。イエスは彼の目をいやし、「行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」と言いわれ、バルティマイは見えるようになり、「道を進まれるイエスに従った。」のでした(マルコ10・52)。
 多分この不思議な出来事の後には、もっと多くの人々がイエスに近寄り、呼びかけを聞いていたに違いありません。「ダビデの子イエスよ、」この叫びは、彼らを救いの希望に目覚めさせたでしょう。彼らは、イエスこそ、待ち望んでいたメシアではないかと自分自身に問い掛け、新しいダビデ、そしてロバに乗ったイエスがエルサレムに入城されたことによって、ついに神がダビデの王国を復興してくださる時が来たのではないかと考えたのです。
 これから起ころうとする出来事に期待が膨らみます。そして益々イエスに注目が集まるようになります。

2つの行列
 30年の春のある日、ユダヤ人の過越祭の時に、エルサレムで2つの行列がありました。過越の週が始まっていました。ユダヤ教にとって最も聖なる週です。
 一つは皇帝の行列でした。ピラトと兵士たちは馬に乗って西の門から入って行きました。イエスは東の門から入りました。もう一つは農民たちの行列で、その行列に加わったイエスは多くの人たちに歓迎されながら、ロバに乗ってオリーブ山を降っていったのでした。イエスとその弟子たちは、農民の階級に属していたからです。彼らの多くはいつもガリラヤからエルサレムを旅していました。ガリラヤは、エルサレムから北へ160キロに位置します。マルコ福音書は、いつもエルサレムに向かうイエスの生涯を語っています。イエスはこの時点で、人生の頂点に近づいていました。

イエスはロバに乗ってエルサレムに入城された
 弟子たちとイエスによるエルサレム入城の準備は、人々の救いの希望を高めます。今日の福音で語られたように(マルコ11・1−10)、イエスはオリーブ山のふもとにあるベトファゲからエルサレムに来られました。それはメシアが来られるはずの道でした。イエスは、そこから、弟子たちを先に送ります。道で見つけるはずのロバを連れてくるように命じました。彼らはロバを見つけ、ほどいてイエスのもとへ連れて行きました。

 この時、弟子たちと他の巡礼者は興奮していました。マントをとってロバの上に乗せ、他の人々は自分たちのマントをロバに乗って進むイエスの前に敷きました。そして木の枝を折って叫びました。「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。我らの父ダビデの来るべき国に、祝福があるように。いと高きところにホサナ。」(マルコ11・9−10)と。

旧約聖書には、イエスがどのようにエルサレムに入城されるかが預言されていました。
「娘シオンよ、大いに踊れ。娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。見よ、あなたの王が来る。彼は神に従い、勝利を与えられた者 高ぶることなく、ろばに乗って来る 雌ろばの子であるろばに乗って。」(ゼカリヤ9・9)

 この喜びに満ちたお祝いは、4人の福音史家すべてが伝えています。祝福と喜びの叫びです。イエスにおいて神は民を訪れ、待ち望んでいたメシアがついに来られた、という確信を表しています。そして、そこにいるすべての人々が、イエスがエルサレムに入られてからなさることに期待していました。

メッセージ:イエスは、神の子として、私たちを一つにしてくださる
 今日のお祝いの中に、始めのメッセージとして見つけることができるのは、人類全体を大きな家族として捉えるように、との招きです。神は、様々な違いを問題にするのではなく、賜物として評価すること、特に、私たちはキリスト者として、神が創造された自然、人類が全ての生き物と共に住んでいるこの地球を、祝福の眼差しをもって愛おしみ、それを守るようにと望まれています。イエスのペルソナが私たちを兄弟として結び、福音の価値観に基づいた、もっと人間的社会を築くように招いています。そして、その招きをお互いに受け入れるよう、私たちを一つにしてくださる、それがイエスです。

招き:死んで復活されたイエスへの信仰を新たにする
 今日から、一年の内で一番大切な週に入ります。イエスに対する自分自身の信仰について改めて問いかけてみましょう。
1)今、自分の生活の中で、死んで復活したイエスの現存をどのように生きているでしょうか。
2)イエスのどの行動が最も私にインパクトを与え、それに倣おうとさせるでしょうか。
3)新型コロナウイルスのパンデミックのこの時、キリスト者として私の中にある最も深い希望は何でしょうか。
4)今日に至るまでの自分自身の信仰の道、イエスとの出会いの中で、最も強い時を思い起こしましょう。

兄弟姉妹の皆さん、
 愛によって私たちの救いのために十字架上で命を献げたイエスに感謝しながら、今年の聖週間を生きるようにしましょう。この週に、たくさんの仕事をしなければならないかもしれませんが、短い時間でも良いので、上の質問に答えられますように。新たな心で主の復活の過越を生きるようにいたしましょう。