カトリックさいたま教区/CATHOLIC SAITAMA DIOCESE

司教メッセージMESSAGES

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年間第15主日 ルカ 10・25-37

2022.12.10 (日)
兄弟姉妹のみなさん、
 この説教を書き始めようとした時、元首相・安倍晋三さんが、奈良で銃撃されたニュースが入り
ました。おそらく皆さんも、私と同じように驚かれたと思います。住民の健康と命を脅かす事件が時々ありますが、日本の元首相がこのような最期を迎えるとは、誰も想像しなかったでしょう。
 今日のミサで、安倍晋三さんの永遠の安息と家族の慰めのために祈りを捧げます。そして、政府、政党がもっと正義ある社会を築くよう努力し、特に、最も弱い立場の人、仕事や居住先を探している外国籍の人たちにも手を差しのべるように祈ります。
 
 まず、はじめに、短く、今日の典礼で朗読される聖書箇所のメッセージを聞きましょう。日曜日の典礼では、いつも第一朗読と福音書に共通点があります。さまざまな人間的、自然的出来事の中で、今の歴史をどのように生きることができるか理解するために、神が私たちの注意を引きつける点です。

第一朗読(申命記30・10〜14)
 民として生まれ変わるためには、神の言葉に回心しなければならない
第一朗読で、神の民であるイスラエルが追放の地にいる時、ユダとエルサレムが破壊された重要な原因について振り返りをしています(紀元前587年)。バビロンへの追放は、神とその言葉から離れたことが最も大きな要因だとしています。
 そして、今は、本当に聖なる都を再建し、散らされているユダヤ人たちを集めるために、神との契約を新たにする他ない、モーセを通して啓示された、神からの掟をしっかりと生きること、即ち、神の言葉に導かれて、もう一度、神に立ち返らなければならない、とモーセは民に告げています。
 今日、私たちも神のメッセージに心が開かれていなければなりません。神は、時のしるしを通して、また異なる場所でそのメッセージを送られますから、私たちはその出来事を聖書の中にあるモデルや言葉に照らされて読み、解釈しなければなりません。
 この視点から、答唱詩篇69番が提案している祈りが理解に役立ちます。この詩篇は、主を日常生活の中で探し求めれば、主は私たちが向き合っていかなければならない課題に、力で満たしてくださる、と言っています。

第二朗読(コロサイ1・15〜20)
 万物は御子によって、御子のために造られました
コロサイのこの朗読箇所には詩の趣がありますが、キリストは全ての人のモデルである、とのパウロの信仰宣言があります。キリストのように生きていれば、さまざまな民族間の和解による新たな人類を築くことができます。ですから、パウロは、人類は「彼によって彼のために」造られたと言っています。信仰の視点からしか理解できない現実を詩的に表現しています。しかし、私たちのイエスに対する信仰は、神と救い主としてのイエスに対する信仰であり、イエスによって造られた教会に対する信仰は、まず神からの恵みであり、私たちが死ぬまで深めなければならないのです。

福音(ルカ10・25〜37):
律法主義をのり越えるよう、イエスが招いている
 良いサマリア人のたとえ話はルカ福音史家だけが伝えていることですが、私たちの注目を惹き付けます。
イエスの時代のユダヤ人たちのメンタリテーは律法主義に毒され、冷たいものになっています。人間的な温かさがありません。人のニーズや人間の権利を無視していました。律法の組織が許可するものだけに心を奪われ、その組織が禁止するものは、全て拒否されていました。言い換えますと、宗教的組織が掲げる律法主義が、神のモラルの正式な規則となっていて、例えば、律法による儀式こそが他の法に勝るとされていました。これがイエスの驚きであり、心配でもありました。神の名によって、神を非人間的にしていたのです。

良いサマリア人のたとえ話:宗教の違いを超えての助け合い
 良いサマリア人のたとえ話が生まれた背景を見ましょう。助けを必要としている人が道に倒れている。死んでいるようで、権利を失っている。人間としての尊厳が傷つけられ、律法を守る人たちから見捨てられていますが、ユダヤ人とは良い関係になく、日ごろから軽蔑されているサマリア人に助けられます。
 イエスはそのような人たち、すなわち、人間として倒れている人。社会、政治、経済と宗教の組織から阻害されている人(組織は人々の権利を尊重せず、自由と自立に生きるように築けない)のために、権利の本当のオプションを提案します。
 イエスは、連帯性、助け合いが、律法より優先されなければならない価値観であることを言おうとしています。その人が必要としていること、社会的、共同体の善を求めることが優先されなければなりません。権利が守られていない状況にある、多くの人たちの権利を守ること、共同体や組織の中で、道端に倒れている、権利を無くした人のために働く道を選ぶことに関して、イエスは言おうとしています。即ち、今日においても、共同体や組織で、さまざまな宗教団体と力を合わせて戦っていかなければなりません。今の日本の政府に対して、人身売買や外国人に対する法律を見直すこと、特に、難民となっている人たちがビザを取得し、日本で暮らせるように求めます。

 確かに、ロシアのウクライナへの侵略がエネルギーのバランスを崩しています。食べ物に関しても、そう言えます。それによって物価が高騰し、生活が難しくなっています。近隣の国々は、幾万人の避難民を受け入れています。日本もロシアの侵略を非難してきました。避難してきた人々は、徐々に日本各地に来ています。私たちの小教区にそのような外国の人が来るなら、言葉の壁を越えて、兄弟愛をもって受け入れるようにしましょう。