信仰講座 ARCHBISHOP COUSE
一覧表に戻る |
■ 第51回「ペトロに信仰告白は教会の設立へ続く」 2018. 6.29説教
聖ペトロ・パウロ使徒の祭日 カトリック浦和教会 第一朗読:使徒12.1-11 第二朗読:二テモテ4.6-8、17-18 福音朗読:マタイ16.13-19 福音 イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。 弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」 イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」 シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。 すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。 わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。 16:19 わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」 説教 イエスが弟子たちに、 「それでは、あなたがたはわたしを何者だというのか。」とお尋ねになると、シモン・ペトロが「あなたはメシア、生ける神の子です。」と答えました。イエスはお喜びになられたと思います。 「あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。」 と言われました。今日、二人の偉大な使徒、初代教会の偉大な使徒、初代教会の建設者、指導者である、聖ペトロ・聖パウロの両使徒の殉教を記念するミサを世界中で、特に聖ペトロ大聖堂で献げられております。二人は大変偉大な任務を果たしました。ペトロはイスラエルの民の中からイエス・キリストの弟子たちの集団である教会をつくり、教会の代表者とされました。パウロは異邦人にイエスの福音を述べ伝え、異邦人の使徒と呼ばれております。異なる使命を受けた二人でありますが、共にキリストのために命を献げ、キリストのもとに人々を一つに集めるという偉大な任務を全うした方々であります。 このお二人は大変偉大な人ですが、それぞれその生涯を振り返ると大きな問題があった。誰でも知っていることですが、ペトロは主イエスを三度も否み、知らないと言って裏切ってしまった人でありますし、パウロは熱心なファリサイ教徒であって、キリスト教徒を迫害し、彼らを捕縛し、投獄するという乱暴な暴力的な迫害をしていた張本人であります。それにもかかわらず、二人は命を献げて、教会の建設の礎となりました。ここから、わたしたちは学ぶことができると思います。神の恵みは偉大であります。どんな人であっても、どんな過去があっても、どんな失敗をしても、どんな大きな罪があっても、神様はその人を立ち上がらせ、新しい人に生まれ変わらせ、ご自分の御用に、ご自分の使命の担い手にしてくださることができるのだと思います。 さてペトロにイエスが言われた言葉、 「おまえはペトロ、わたしはこの岩の上に私の教会を建てる。」 カトリック教会はこの言葉を非常に大切にし、カトリック教会の、いわば正統性の根拠としてきました。それはそうとして、聖アウグスチニス、有名な聖人、教会博士である聖アウグスチヌスが残している説教を見ますと、少し、違う見方も知ることができます。この岩という言葉は、わたしたちはペトロ自身を指すと思いますけれども、実はこのペトロの信仰告白、ペトロの行った信仰告白をイエスは大変評価されて、あなたがたの信仰の上にわたしは自分の教会を建てると言われたのだと説明しております。もちろん、ペトロが代表ですが、ペトロを代表とする弟子の集団、12使徒団の信仰の上に自分の教会を建てるのだと言われました。そして、天の国の鍵を授けると言われました。この天の国の鍵という言葉もおそらく聖霊降臨の出来事と併せて考えた方がよい。ヨハネの福音によれば、イエスは復活してすぐ弟子たちに現れ、そして弟子たちに聖霊をお与えになり、あなたがたのゆるす罪は赦され、赦さなければ赦されないままにとどまると言われました。罪を赦すのは神様であります。司祭は赦しの秘跡を授けますが、それは神様からの委託によって、父と子と聖霊の御名によってあなたがたの罪を赦しますと宣言している。罪を赦すのは父と子と聖霊の神様、特に聖霊の働きによるのであります。ですから、この鍵というのは、つまり、鍵がないと建物に入れない、鍵をなくすと非常に困ってしまうのでありますが、教会に与えられた鍵というのは、人々の罪を赦し、人々に神の恵みを与え、天の国へ入る門を通過させるための大切な通過点をさせるための恵み、つまり聖霊によってわたしたちは人々に罪のゆるしを伝え、そして罪の赦しを現実のものとすることができる、ということを意味しています。ですから、イエスが言われた「この岩の上にわたしの教会を建てる」というこの言葉は、このペトロを中心とする弟子たち全体、その弟子たちが行った信仰告白を基礎とするという意味です。その信仰告白という土台の上に天の国に入るための罪の赦し、神の恵みが与えられるのであるという意味である、とわたくしは思います。聖アウグスチヌスの説教はそのように言っております。 さいたま教区の司牧者大会が今週の月曜から水曜、25、26、27日と行われ、山野内被選司教様も参加し、わたしたちの共通の課題を分かち合い、そしてこれからの歩みについて、聖霊の指導、保護を願い、決意を新たにして歩んでいこうという祈りを献げたのであります。どうぞ皆様もこれからのさいたま教区の歩みの上に主なる聖霊が豊かに注がれ、そしてわたしたちの心の扉を開けて入ってくださるようにと祈っていただきたい。 |
一覧表に戻る |